« livedoorムービー“映画を語ろう”久々にUP | トップページ | 異能生存の存在証明(2)~装甲騎兵ボトムズ再考 »

異能生存の存在証明(1)~装甲騎兵ボトムズ再考

お久しぶりで申し訳ない!

だいぶ前に書いたままだったシリーズだが、前回の冬コミ(69)で全文書いたので、分割してUPすることにする。とその前に、これまた昔に書いた文章から続く文脈にあるので、まずはそちらをUPしてから、「押井版『ボトムズ』~その可能性の中心」を再会したい。


今更ボトムズについて語るなんていうのは如何に機能的でないか、なんてことは分かり切っている。ただ、リアルタイムで体験できなかった悔しさから、持つもの(アニメなどの作品)は十年経とうが持つのだ、ということを意固地に表明したい。
で、今ボトムズについて語るっていっても何を語るのか。正直、私はボトムズに関する評論の類いを読んだことがない。当時の世情を考えれば、ボトムズのような作品だったら評論まがいのものがたくさんありそうだが、オタクがまだ地下的であったからか、表面上には残りにくいらしい。だから、放映当時小学生で、裏の『クリーミーマミ』を見ていた少年がそれから十年の時を経て目撃した感覚で語られることとなる。
そこでポイントとなるのはOVA『赫奕たる異端』が完成されているということだ。これは意外と重要な意味を含む。私と同じ見解を持つ人も多いらしいけど、ボトムズの話の筋を追っていくと、TV版最終話ではなく、『赫奕たる異端』で完結していると考えているからだ。なんでそう考えるのか・・・そこに至る経緯も含めて、キリコは何故歩き続けなくてはならないのか、という大胆にも核心的な問題を扱っていくつもりだ。


0)提起

「なんだかボトムズって他のアニメと違うよね」なんて見た人は少なからずそう思うと思うんだけど、そこが魅力的というのは大方間違ってないだろう。じゃあなんで他のアニメと違うのか。先ず暗い。しかし当時のアニメは設定、テーマが暗いものが多かった。主流はロボットアニメという時代を考えるとサンライズの時代で、富野、高橋ともに差はあれ、これまでのアニメとは違った、暗いと形容が出来るテーマを盛り込んでいた。その中にあって、ガンダムとは違う意味で異様な持久力をボトムズが持ちえたのは、特異な物語性に多く依るんじゃないか、と睨んでいる。
設定の時点で、多くのロボットアニメが戦争を舞台にしているのに対し、話の本筋は戦争が終わったところから始まる。ちょっと深読みの出来る人だったら、これまでのロボットアニメへの、殊に富野作品へのアンチテーゼとも、戦争という状況を語るために戦争の外部から語るという方法をとっている、と解釈するんじゃないだろうか。この解釈を裏付ける要因として、よくあるロボットアニメは、主人公が少年で、戦争に巻き込まれることで成長していく、というような青春ものが多いが、キリコは地球のためでも平和のためでもなく、「だから大人は」とか、愛やら正義やらの大義名分のために「でりゃー」「どわー」いったりしない。キリコは単に「先を急いでる」。私が一番この作品で目を引くのはこの点にあったりする。
こうしたキリコを際立たせるかのように、バニラやココナ、イプシロンなどの脇役は浮いて見えるほどに、これまでのアニメ的な言動を見せる。先にあげた様なキリコの態度に対しイプシロンは説教をするし、バニラやココナは世俗的で、金や恋路や義理人情の話ばかりでとても感情的に描かれている。『赫奕たる異端』では確信的すぎるほど、モンテウエルズ枢機卿は名誉と権力に飢えている。マーティアルを巡る権力闘争、そこには信仰は既になく、支配的な教会権力を巡る争いがあるだけ。案の定キリコは興味ない。ラストで再生したアレギウムを全く無視して歩いていくキリコは象徴的だ。
これまでのロボットアニメ的な既成の要素がボトムズでは滑稽に描かれているように(=茶番)、「赫奕たる異端」では宗教が世界的に展開することによってキリコが世界から隔絶されたような図式が浮かび上がってくる。ここまでの文脈から考えると、アニメを巡る状況が10年を経て、ファンが信仰のようにキャラクターを捉えるという現象が激化した、そのことへの警鐘、と捉えて結論付けるのは簡単だ。しかしそこにはアニメそのものへと肉薄する問題が私には見えてくるのだ。


(2)へつづく...

|

« livedoorムービー“映画を語ろう”久々にUP | トップページ | 異能生存の存在証明(2)~装甲騎兵ボトムズ再考 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/173075/6510290

この記事へのトラックバック一覧です: 異能生存の存在証明(1)~装甲騎兵ボトムズ再考:

« livedoorムービー“映画を語ろう”久々にUP | トップページ | 異能生存の存在証明(2)~装甲騎兵ボトムズ再考 »