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将軍様の鉄道 雑感

将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情

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書評/旅行・娯楽


奇しくも南北に鉄道が通ったというニュースが入ってきたばかりのUPで、そのタイムリーさに驚きを隠せないが、本著は北朝鮮の鉄道事情について書かれた1冊である。恐らくここまで北朝鮮の鉄道をピックアップして掘り下げた本は他にないように思われる。中身でも触れられているが、国の事情が事情ゆえ、詳細に調べられないからだろうが、それにしても過去の断片的な資料からなんとか筋道を立て、鉄道路線図まで作成してしまった、著者の鉄分の多さには脱帽である。
車両のページでは図版が用いられているが、取材できなかったものに関しては、切手のイラストで紹介されていたりと、涙ぐましい努力の跡がなんともほほえましい。

しかし、斯様に過酷な資料集めにあって、添付のDVDの画像の鮮明さはなんなんだろう!? 「北朝鮮の車窓」からという某番組のようなタイトルに、石丸謙二郎のナレーションを期待してしまうが(溝口肇のテーマソングまでは望んでないが^^ゞ)、BGMのない、淡々とした20分ほどの映像だった。オマケだから凝ったつくりを望む方がどうかしてるし、資料という点では音楽やナレーションは雑音でしかない。そう、本著の図版からは想像できないほど、はっきりくっきり映っていて、資料としてこれはなかなかの映像ではないだろうか。ニュースバラエティでみる北朝鮮の映像とは比べ物にならない。そりゃあれは潜入取材だからといえばそれまでだが、特に車窓からの映像は圧巻で、郊外の荒涼とした風景に突如としてプロパガンダの掲げられた駅ホームが登場したり、平壌の薄暗い地下鉄駅や、ビバリーヒルズ的バカみたいな青空の下、緑の中を走る路面電車等等、現在の北朝鮮の象徴的なギャップが楽しめた。

もちろん、本自体も鉄道という切り口でよくまとめられたとは思うが、どうしても物足りなさは残った。本のつくりの割りにページ数が少なく、内容の重厚さに欠く。そりゃ情報が制限されている国だし、鉄道という側面でまとめてるのだからしょうがないとは思うが、やはり政治的な側面とは切り離せない国柄なので、日本統治時代から現在に至るまでの政治や思想を絡めた濃さが加わればよかったかなぁとは思った。でもそこは不可避とはいえ、本に出来ない内容になっちゃうのかなぁ。。。
鉄道という観点でいえば、本著を見るまでも無く海外からはロシア・中国といった大陸の内陸部から北朝鮮へ入国するのは陸路だから当然だが、北朝鮮へ入国する手段としてはなにも陸路ばかりではない。空からは首相クラスで無いとムリだが、観光ということでは韓国からのツアーを用いた海からの入国が可能である。中国側からの鉄道での観光もできるようだが、北朝鮮の南東部、韓国に跨る金剛山は観光地・景勝地としての歴史が長く、かつては日本人も深く関わり、また会談など政治の舞台にも幾度となくなってきた場所である。こうしたことは海老名ベテルギウス則雄『金剛山研究』というミニコミ誌ながら分厚い旅行記(というか立派な研究)にまとめられている。旅行記とはいえ政治的な内容が濃く、ミニコミならではのボーダレスな書かれ方に重厚感がある。日本人が金剛山に鉄道を敷設する件は鉄分の多い方にも十分楽しんでいただける内容かと思う。

最後に、子供向け電車ムックのようなデザインを狙ったのかもしれないが、それにしても表紙がダサすぎる! 頼むぜ新潮社!!

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