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佐藤優『自壊する帝国』雑感

※読了後の感想を追記しました。

この間、ちょっと触れさせてもらったように、本が好き! というプロジェクトに参加していて・・・まぁ献本の変わりに感想書いてちょうだいと。

自壊する帝国
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livedoor BOOKS
書評/社会・政治


最初期のラインナップは5冊で、その中では本著『自壊する帝国』しか肌にあいそうになったので、とりあえず記念だからと分厚くともお願いしたらこがもう大変。現時点で感想UPのタイムリミットはとうに過ぎているのだが、ぜんぜん読み終わってない(^^ゞ
献本お願いした後でその重量に失敗したかなぁと思ったのだが、後日システムが整っていなかった関係で再度申込みしなおさなければならなくなって、怖気づいて再度申込みしなかったのだけど、どうも主催側が配慮してくれたみたいで、見事に1冊ドカンと贈られてきたわけで・・・こりゃ大人しく読むしかないとパラパラページを繰ると、これがなんとも面白い!

本著の概要は画像をクリック頂ければ上手な粗筋が読めるのでそちらを参照して欲しいが、まぁ若き日本人外交官がロシア(当時はソ連)に赴任してペレストロイカを目の当たりにする、というノンフィクション。
この著者、実は容疑者で、「北方領土支援にからむ偽計業務妨害」とかなんとかって容疑に掛けられてて、鈴木宗男と関係もあったみたいですわ。
とにかく外交官としてアクティヴな諜報活動がソ連側から疑われまくりで、秘密警察(KGB以外にもいろいろあるんだってさ、へぇ~)にマークされまくり。当時のソ連、つーか共産国家はアメリカ側の資本主義はもとより、非科学的な宗教を否定してたようで、ロシア正教とかも否定的に研究するという名目じゃないとモスクワ大学でも扱えないし、それに関わる書籍なんかも国会図書館に封印状態で市井では思想統制されている。まさに焚書状態で、神学を学んでいた著者はチェコルートとか人脈を駆使してそうした反体制的な書物を入手するんだけど、外務省の留学生なんてマークされまくりな存在なのに、そんな書物の遣り取りとか、ハデに動く動く。
例を一つ挙げれば、モスクワ大学で神学を学ぶには先述のように宗教的倫理観の否定をしなければならない。論文や弁論で否定する事例を挙げることで、他の学生は共産思想以外の意識を得ることができる仕組みになっている。とはいえ論文や弁論の最後は必ずマルクス主義マンセーで〆られる。それでも発表した学生を他の学生や教授はボロカスにいうんだけど、共産思想以外が取りざたされるのだから、反体制的な思想の側に立っているというポーズをとる必要がある。他の学生や教授の中に必ずKGBや秘密警察にリークする共産党員が混ざっていて、常に動きを監視している。
日本からの外交官がそんな大学のゼミに参加すること自体イレギュラーであり、だからマークされまくりなのだが、よくやると思う。おかげでこうして本になって我々がしるところとなるのだが。
そこまでロシア人の懐にはいれる著者の人徳には感心するばかりだが、人徳だけではなくそこまで入り込めるこの人の能力の高さは目を見張るものがある。さらっとロシア語をマスターするなんて書いてあるけど、いろんな国の言葉をまるで何もなかったかのようにマスターし、原文で本を読み漁る。兎に角頭がいい。こういう人をインテリというんだなぁと心底思った。だからもちろん日本語もうまい。感心するほど読みやすく適切な文章を書く。「異能の外交官」なんて呼ばれて呼ばれてるようだが、ボトムズのキリコっぽい。まさに異能生存体 。あのアニメも共産的な臭いするし、ボトムズにインスパイアされたと思しきガングリフォン というゲームも舞台はロシアだったなぁ。

映画ゴッドファーザーでパロディにもなった、戦艦ポチョムキン の乳母車が落ちる階段での、とある日本人外交官の濡れ衣エピソードなんかは、暗躍する国家というものが如実に現れていている。
共産主義体制とか秘密警察とか赤い工作をアツく感じる向きは是非一読されたい。大変だ!キミの教科書も真っ赤っか!!
さて、自分が読了するのはいつになることやら・・・
・・・それにしても、表紙がダサいんだよなぁ。ノンフィクションの本ってなんでこうオッサン臭いんだろうか? ※読了後追加文章を書くなり、この記事を書き直すなりする予定。ちなみに、このブログのほかの記事でも顕著なように、文脈を追う文章は書かないので、書評(だと思って書いてないけど対外的に)として内容が覆ることはないので、まぁ雑感は以上の通りッス。

※読了後の感想は↓
読了してみて、大した感想の違いはないのだが、ソ連の崩壊が加速していくと共に人間関係の話のウエイトが大きくなり、時系列でのソ連崩壊のカタルシスはなかった。著者自身が肝心なときに風邪を引いて外に出られなかったりとオマヌケなことも起因しているのかもしれない。
そもそも本著は著者の人脈を軸に書かれているのだから当然の結末とは言えるが、前半は大学でのインテリの話など、学術方面での知的興奮が呼んでいる側にも伝わり、それが自分の関心とリンクして本著独特のダイナミズムに繋がったと分析しているが、後半は酒の席での政治的な動きばかりで、少々疲れた。それに登場人物が多すぎ、頭で整理しきれなくなってしまった。付記されている登場人物の概要をつき合わせても、そこに書かれていない人物も重要だったりとなんだか片手落ちな感は否めなかった(あれだけの人脈を整理してまとめるのは不可能に近いかもしれないが)。
もっとも混乱させられた一番の要因は、なんといっても自分のソ連やそれに関することの無知、それに尽きるだろう。ソ連にミーハーながら関心の多少はある自分でそうなのだから、特に西側、バルト三国やその隣国の歴史・宗教の流れがつかめず苦労した。
逆に言えば、本著により今まで以上にそれらに対する関心を喚起させられたのは事実で、あとがきに著者と宮崎学・小林健治とでまとめられた『国家の崩壊』を読む必要性を感じた。恐らく自分の関心はこの本の方が大きいと思うが、佐藤優という存在を知り、また更なるソ連への関心を覚えたという意味で、本著の存在は非常に大きなものだった。
国家の崩壊佐藤 優

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