'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa~開田裕治/アウトロ

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開田裕治サイト「開田無法地帯」

イラスト作品は工藤氏サイトよりリンク

自分にとっては中学時代に目撃したパトレイバーやボトムズのイラストが強烈に印象深かったイラストレーターとして今でも脳裏にこびりついている。ロボットモノのイラストというと、漫画よりもアニメ作品の方が多いからか、セル画なものが多く、自分が学生時代にブレイクしたFFSの永野護 のような明るくファンタジックな画風を多く目にしていた中にあって、横山光輝のロボット画やガンダムの大河原邦男 のような、いい意味でバカバカしくもスケール感のある重厚な、とりわけ黒というか闇の重さのある画でダークな空気は目を引くに十分すぎるものがあった。
そうした、重厚な割りにフィクションとしての戦後的昭和的胡散臭さは、これまた小松崎茂を引き合いに出すまでもなく近未来趣味的な要素を帯びるわけで、それが逆に、ロボットアニメの作風自体が戦争といった重いテーマよりも勇者者などのライトな作風へとシフトする中で、レトロ感とでもいえるような雰囲気を醸し出していた。

以上に引用した作家を追うまでもなく、そこにはプラモデルのパッケージ的なものを想起せずにはいられない。そうしたテンションを帯びたロボット画は他に出渕裕くらいなものだったろうか。些か時代がかった見方かもしれないが、現在のガンプラのパッケージに違和感を覚えるのは自分だけではあるまい。それは、食玩が高年齢層をターゲットにしているからか、旧時代的なパッケージイラストをとるケースと無関係ではないだろう。


もちろんそうした作風を今回随所にみられたわけだが、個人的感慨として大きかったのは雑誌『宇宙船』の表紙を飾ったイラストが展示されていたことだろう。『宇宙船 』はまだオタクという言葉がなかった頃、特撮とその周辺を巡るカルチャー誌で、今回の開田氏の作品が表紙だったことは認識していなかったが、SFと特撮がオタク文化の中で未分化だった頃のテンションがまざまざと思い起こされた。
オタク的なる文化は今では様々のジャンルに細分化され、当のオタクですらその全容を把握しておらず、他ジャンルに関しては門外漢に等しい輩も少なくないだろう。今のようにオタクをターゲットとしたマーケットが成立しておらず、ネットもない状況下で、オタク的なるものは何れも当価値に摂取せねばならないほど、情報に乏しかった。20~30年前はそんな状況だっただろうか。
その当時のものといえば、アニメ・マンガ以外に特撮とSFが未分化であり、ここにガレージキットなどの模型、ひいては鉄道や無線などが付随するケースも往々にしてあった。それぞれに得意不得意分野はあったにせよ、ある程度の共通意識は今よりも強かったのかもしれない。今更な例で申し訳ないが、宮崎勤はウルトラセブン幻の12話 所有を自慢にしていたというし、ガイナックスの前身である「DAICON 」フィルムもその内輪的ネタにSFや特撮のモチーフで溢れかえっていた。


その時代がいいか悪いかはともかく、開田氏の展示作品を筆頭に、今回はそのテーマでもあると思しき特撮再考(最高!でもある)という側面が、3氏の作品から溢れ出ていたように思う。
いまや特撮といえども、オタク文化の中では限られた狭いジャンルとなってしまったようで、些か隔世の感は否めないが、性的な面で何ら臆面のないようにしか思えないアキバ文化の極端な偏向(メディアがそこばかりピックアップしているからだろうが、事実オタクビジネスとして最も、唯一成立する部分であることは否めないだろう)に違和感を覚える身としては、とても居心地のいい展示会であり、単なる懐古趣味に没しない可能性すら感じられたのは、収穫といえるだろう。


【了】

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'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa~工藤稜

イントロ  | 前田ひろゆき  | 工藤稜  | 開田裕治~アウトロ

 


工藤稜サイト「くま画廊」


恥ずかしながら工藤氏を知らなかったのだが、作品を見てピンと来るものがあった。特撮モノを中心とした、食玩のパッケージイラストや双葉社の大全シリーズの表紙イラストを手がけている方で、その独特の作風に覚えがあったのだ。


今回の展示ではそうしたアニメ・特撮系の仕事の他に、自身の美術家としてのドローイング (←クリックで氏のドローイング作品ページへ)も併設されていた。ドローイングだから当然といえるかもしれないが、勢いのある線で描かれていて、氏の躍動感溢れる方向性のある画、こういってよければ力学を感じる画の原点を見たような気がした。

それまでは、戦後の戦艦や戦闘機などのプラモデルのパッケージ、往々にして小松崎茂 氏の手がけたイラスト的な、特撮好きが小さい頃から憧れ、親しんできた世界を昇華した作風なのかと判断していた。もちろん技術的な蓄積は相当なものだろうが、どこかプラモデルのパッケージやメンコや紙芝居のような、いい意味で胡散臭い空気が全体に漂っていて、単に画の技術的な関心以外の部分で、ヲタ心、いや多くの男の子の心をくすぐる何かがある気がした。それと同時に絵描きとして、美術家としての側面が融合しているのだから、画の説得力がないわけがない。
しかし自分はそこに、どこか女性的なものを感じずにはいられなかた。勢いがある画風なのに、“漢”というより女性的なシルエットの曲線的柔らかさがあるような・・・以前なにかのインタビューで、描かれる対称としての男・女という性別ではなく、絵描きの持つ女の絵・男の絵というものがあると押井守が言っていたのを思い出した。パトレイバーがらみの話だったか、ゆうきまさみ・出渕裕コンビは女の画にしかならない・・・みたいなことだったかな。良い悪いじゃなくて、工藤氏の画は女の画だなぁと。

つづく

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'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa~前田ひろゆき

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'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa <ギャラリーサイト

[イラストはMoPiX よりリンク]
前田氏は、松下進のところの人<http://www.susumumatsushita.net/ >全快というか、よく見るファミ通の表紙イラストがメイン。デカいのを改めてみると、キャラクタイラストの見せ方みたいなもんがしっかり伝承されているという印象を受けた。ひとつの芸というか技術として確立されたものを感じる。

画のオリジナリティという点ではつまらなさを感じる向きはあるのかもしれないけれど、イラストはアートであると同時に商売であって、お金を出す人がいて、キャラクタに付随する商品というものが別にあって、そういうなんやかんやの中で描く画が決まり、その画を完成させる(納得させる)ことでオマンマが食べられる世界だと思うから(そうだよ・・・ね?)、その中にあって何を吸収し、どこに自分をどうやって出して行くかってのが問われてくるんだろうね。

画の脇にプロフィールやメッセージ的なボードが添えられていたが、なるほど、ミッキーなどディズニーのキャラクタ世界の流れを受けている部分があるのねぇ、と妙に納得してしまった。そういう体系の中でも自分が出てくる瞬間ってヤツが面白いわけで、その意味で仮面ライダーブレイドのイラストは突出しているというか、面白かった。あ、別に松下進のあのベアーの目をした仮面ライダーじゃないっすよ。いわゆるリアルな等身で、描かれ方にらしさがみられるって感じ。FFの松下キャラってのとはちと違う。あのデフォルメされた感じではない。カッチリした丁寧な画なのだけど、ライダースーツのテクスチャの、バトルして汚れたりとか傷ついたりっていうリアリティじゃなくて、いくら闘ってもヒーローはキラリとしているというキャラクタとしてのヒーローの、いい意味でのキレイさ、煌びやかさが前面に出ている。バトルしてこんなキレイな身体じゃないだろうってウソ臭さは皆無。キレイでも画になっていて説得力がある。こういうところはサスガとしか言いようがない。

つづく

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'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa~イントロ

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'06.7/15-23『3人の角度展』@青山GoFa <ギャラリーサイト


ちょっとした絡みで青山のギャラリーの展示に行ってきたことを書こうかと。このブログでこういうレポをあげるのは初めてだが、まぁこういう横断を本来の目的に立ち上げたブログながら、なかなかねぇ・・・


そぼ降る雨の中、久々の青山ということでこれまた久々に青山一丁目駅で下車して武蔵 でつけ麺食べてチンタラ表参道まで歩いた。青山通りの一本裏路地を歩いたのだけど、結構アップダウンが大きくて疲れる。
時折、ビルの解体工事現場に出くわす。ムダにゴージャスなハリボテ内装の残骸が転がっている。なんだか忘れたけど、ニュースで見たブランドの真新しいビルを見かけたが、これも数年後には同じような運命を辿るのだろうか・・・まぁこういう町はそういうところで、それわかってて建ててんだろうから。案外、大地震が来たらコンパクトに倒壊するように出来てたりしてね。ペシャンと。


青山ブックセンターの脇のビルに入ると、今日の展示の案内が掲げられている。従業員用非常扉のようなところから入るよう指示が出ている。ギャラリーというのは概ね辺鄙なところにあるものだけど、中でも特殊な方かな。でもオンボロビルをギャラリーにしてるとかそういう向きじゃないので、非常階段のようなところでも真新しい臭いがする。特定のギャラリーに見るヤバさみたいなもんとは正反対にある。そういうものの方が好きだけど、正直、内心ちょっと安心(^^)
他の催しの告知などを見ると、どうやらゲームやらヲタ系の催しをやるところのようで、これまた安心する。特にこの界隈だとやたらイメージを売るために必要以上に冷たい対応を受けることがあるのだ。ああいうところの受付のネェちゃん差別目線たらもう!


早く展示のレポをしろってところで、中はまぁこういうところのギャラリーらしく狭いながらもスペース一杯に開田裕治・工藤稜・前田ひろゆき三氏の作品がびっしり掲げられている。

・・・と、長くなりそうなので、数回に分けてUPしまっせ。


つづく

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